
「観て、感じて、言葉と出会う。」
🌱VTS(Visual Thinking Strategies)とは?
VTS(=Visual Thinking Strategies)はアメリカで開発された「対話型美術鑑賞」メソッド。
作品をじっくり見て、感じたことや考えたことを、他者と共有しながら“言葉にする”力を育みます。
私たちは、京都芸術大学にてVTSのナビゲーター(進行役)として活動するための研修を受け、日々のワークショップに取り入れています。
✔ どんなふうに行うの?
1つのアート作品を囲んで、ナビゲーターの問いかけに沿って参加者が自由に発言します。
問いはとてもシンプル:
- 「この絵の中で、何が起こっていると思いますか?」
- 「どこから、そう思いましたか?」
- 「他に、何か気づくことはありますか?」
ナビゲーターは発言を受けとめながら丁寧に聞き取り、参加者同士の対話をつなぎ、
根拠に基づいて考える力や、多様な視点にふれる機会を生み出します。
✔ 対象や場面に合わせて、柔軟に応用
子どもから大人まで、幅広い世代が参加できるのもVTSの魅力です。
また、教育・福祉・地域づくりなど、多様な現場でも応用されています。
ATLでは、こうしたVTSの実践を通して、
**「観て、考えて、言葉にすること」**の可能性を、もっとひらいていけたらと願っています。
実施事例と写真
① 子ども向け企画:Art is in you
アート維新(トヨタ自動車社内有志グループ)と共催し、豊田市足助地区の自然を舞台に、身体的文化資本に注目した3ステップ型ワークショップを開催。
子どもたちは自然とアートをつなぎながら、自分自身の感性に気づく体験を重ねました。
ホーム | Art is in you ‐アートの魅力に気づく3Step‐










② ビジネスパーソン向け企画
トヨタ自動車の有志活動「アート維新」と共に、ビジネスパーソン向けにアレンジした
“VTS for Business”を実施。
対話を通じて、論理的思考・チーム内の多様性・柔軟な発想力を育む機会を提供しています。

③ 公共機関向け企画
知立市文化会館にて開催された〇〇展(Oh!縁展 vol.5):関連イベント(ダンス作品)の鑑賞にVTSを応用。来館者は中庭で上演されたダンス作品をガラス越しに鑑賞し、その時感じた言葉をポストイットに記入、フィードバックとしてガラスに貼り付けました。また、この言葉の痕跡が新たな作品となり、作品への分析的な役割も担いました。
同知立市文化会館では職員・市民を対象にした「MIKATAワークショップ」も開催。多様なコミュニティ理解を軸に、VTSレクチャーと対話型鑑賞を実施しました。
パティオ池鯉鮒(知立市文化会館) | 一般財団法人ちりゅう芸術創造協会






④ フェスティバル関連企画(第24回まつもと演劇祭)
演劇祭の来場者・出演俳優とともに、舞台芸術に対する視点を共有するVTSを実施。

⑤ アーティスト同席型VTS(イロリムラ・クラブ)
アートスペース・イロリムラ(大阪)で開催された展覧会において、出展アーティストが鑑賞者と同席して対話型鑑賞を行うワークショップを実施。
鑑賞者が感じたこと・考えたことをその場で共有し、アーティスト自身の視点とも交差させることで、作品理解と鑑賞体験の双方を深めることを目的としました。
鑑賞者は他者の視点を通じて「作品を見る自分自身」の変化に気づき、アーティストは鑑賞者の視点を取り込み、さらなる創造への可能性をひらくきっかけにもなりました。
イロリムラ 大阪 中崎町 貸しギャラリー 貸しホール 音楽練習室
5月2日,3日 ダイアローグ★パーティ 開催 | dance+


⑥ 1on1形式でのVTS応用ワーク(個人向け)
豊田市文化会館で開催されたATL企画の展示会にて、来場者とATLによるVTSを応用した1on1形式のワークを実施(予約制で1名づつ対話する鑑賞スタイル)。
対話のテンポや深まりを個別にチューニングすることで、参加者の思考と感情がじっくりと言語化されていくプロセスを体験していただきました。鑑賞者それぞれのクセや傾向を認識することで、視野の拡大が可能となり、本質を掴む思考もグッと効率化されます。




⑦VR空間でのVTS
就労継続支援B型事業所【ユニボ】/豊田T-FACE店と連携し、VR空間にアート作品を展示したギャラリーを設置。参加者とナビゲーター(ATL)はアバターとなり、共にアート鑑賞を体験しました。アバターは飛んだり跳ねたり、あるいは「ちょっとわからないな」と感じたときに肩をすくめるなど、感情をボディランゲージで表現することができるため、リアル空間とは異なる自由な鑑賞体験が可能になります。






ATLとVTSのこれから
作品と向き合い、誰かと語りあい、自分の中にひらかれていく「観る力」。
ATLはこれからも、VTSを通して、その小さな発見と静かな驚きを、あなたと分かち合っていきたいと願っています。
ATLでは教育・芸術・福祉・企業など多様な現場で、VTSを応用した対話型鑑賞を提案・実践しています。アートを通じて「考える力」や「チームの関係性」を育むこの方法は、創造性を促すアプローチとしても広がりを見せています。
ご興味のある方は、お気軽にお声がけください。

📎 関連リンク
VTSとは(Visual Thinking Strategies) ※外部リンク
みる・考える・話す・聴くの4つを基本とした対話型鑑賞プログラム(ACOP)*外部リンク
📅 今後の予定
*準備中*