『PERFECT DAYS』review

カテゴリ:映画|投稿日:2024年1月20日
【出典:SSブログ】

*本題までの前書きが長いです。前半は『PERFECT DAYS』のレビューというより、前段。不要な方は読み飛ばして下さいね。

<あなたが映画を選ぶ理由はなんでしょう?>

映画をみようと思うきっかけは人それぞれ。では、ご自身がどんな映画を選んでみているかは意識されているでしょうか?

先日、ある方から1つの映画作品を薦めて頂きました。出演者によく名前の知られたダンサーがいたこともあり、その方は私にその作品を薦めて下さったのかも知れません。私自身も、先ず出演者の情報を伺い「わーい、それみたーーい!」とはしゃいでしまった(笑)のですが、作品についての詳細情報のリンクを頂いて愕然とします。戦後の混乱の中で身を売りながら日々を生きる女性と、戦争孤児となった少年とのふれあいや、戦争で傷を負った男との関わりなどを通して人間というものが描かれている内容だったのです。

私は、なぜか女性が身を売ることなど女性特有の性にまつわるエピソードが苦手で、受け入れられないことがほとんどです。とても辛く苦しい気持ちになり、身体的にも影響が出てしまうほど。出産といったおめでたいことですら、少ししんどい気持ちになってしまうので、かなりの重症だと自覚しています(苦笑)。

友人にその話をしたところ「心揺さぶられる問題作とかよくあるけど、別に揺さぶられなくていいから。無理してみなくていいよ。」とバッサリ(笑)。では、私自身はどんな映画がみたいのだろうと考えてみました。

両親たちは寅さんのどうしようもなさを軸に描かれる人情のぬくもりに暖をとるように毎年、山田洋二監督の『男はつらいよ』をみていたのだと思います。両親ともに仕事には苦労をしていましたし、暮らしもさほど余裕はなく、きっと日常は辛い思いをしていたと思います。

見はじめた『キネマの神様』から、私は自分が選びたい映画は自分がほっと息をついたり、そっと温まるようなものを求めるのではないかと直感しました。

<ようやく『PERFECT DAYS』についての感想を>

日常にささやかな幸せをみつける、という印象を持っていた『PERFECT DAYS』を選んでみることにしました。

監督はドイツ人のWIM WENDERS。『ベルリン・天使の詩』(1987)や『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』といった作品を手がけている方でした。

ピナ・バウシュのドキュメンタリーはピナの死後、私もみていて、彼女の人生や魅力を伝える優れた作品だと感じていましたが『PERFECT DAYS』は、主人公・平山の日々を追った詩的なドキュメンタリーのようでもあり、音楽が美しく織り込まれたロードムービーのようでもあると感じました。上演時間は2時間20分ですが、時間を忘れてひきこまれました。

日常にささやかな幸せをみつける・・・私の最初の印象は言葉としては同じかも知れませんが、そこには平山という人物の描かれ方・・・描かれていない余白の奥深さが加わることでニュアンスが変わったと思います。

日々を慎ましく、無口であまり人と関わらず、ほぼ同じ日常動作のルーティーンに生きていると書くと、無味乾燥な人物とも思われそうですが、彼にとっての日常は、木漏れ日のように二度と同じもののない輝きと美しさに満ちている。

どのトイレも平山がピカピカに磨き上げていましたが、監督はこのプロジェクトに深く感銘を受けたとあるTV番組では紹介されていました。訪れてみたいトイレです。

あと、なんと作品中には田中泯が登場しています!知らなかったので、超ビックリです(笑)。平山にしかみえないホームレスという設定なのですが、踊ってるんですよー、舞踏。もう、嬉しすぎて声をあげそうになっちゃいました。思わぬところで踊る人が登場してくれて、テンション爆上がりでしたね。

<長文になって、すみません>

映画のレビュー、書き慣れないこともあって、長文になりました。ん?レビューといえるのかしら(笑)。すっかり魅了されて映画館を出た私。この作品を選んで良かったなと、とても幸せな気持ちで満たされました。いい映画です。

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